Q.むし歯になりやすい場所ってありますか?
A.気にしていただきたい6つの場所があります。
むし歯になりやすい場所は、たしかにあります。以下の6つがそうです。
日々の歯磨きはもちろん、歯科医院でのケアの際にも意識してください。
ではひとつずつ解説していきましょう。
①唾液がたまりづらい部分
唾液には口の中を洗い流すだけでなく、口腔内の環境やからだ全体を守る免疫作用があります。
このような唾液の効果が届きにくい場所があります。
下の図のように、上の前歯や奥歯には唾液がたまりにくく効果が届きにくいため注意が必要です。
②露出した根面、歯と歯ぐきの境目
加齢や歯周病によって下がった歯ぐきから、歯冠部より酸に弱い根元の部分である根面が露出してしまい、そこからむし歯になりがちです。
根面はむし歯の進行も早く、ひどい場合は根元から歯が折れてしまうこともあります。
歯周病に気をつけるのはもちろんのこと、加齢により下がった歯ぐきには、歯と歯ぐきの際を磨くバス法(105ページ)の磨き方で丁寧にブラッシングするようにしてください。
その際、研磨剤の入っていない歯磨き剤を使うのもポイントです。
③咬合面
小臼歯と呼ばれる犬歯の横にある歯から、大臼歯と呼ばれる奥まで続く歯の噛み合う面を咬合面と呼び、食べ物をすり潰すために使います。
この溝は人によって深さも形も違い、歯磨きで磨きづらい部分でもあります。
そのため、経過観察していいのか、すぐ治療しないといけないのかは人によって違います。
溝が深ければ深いほど、むし歯になりやすいです。
その対策として、シーラント(プラスチック樹脂を歯の溝に埋めること。)であらかじめ溝を埋めてしまうことも有効です。
④歯と歯の間
こちらも同様に、汚れがたまりやすい部分です。
歯磨きで磨き残しや歯垢などを丁寧にしっかりととり除き、むし歯菌のすみかを作らないようにしましょう。
なかなか歯ブラシだけでは磨きづらいこともあります。
歯磨きの後は、デンタルフロスや歯間ブラシも活用しましょう。
⑤歯列不正
歯列不正とは、歯並びが悪い状態のことを指します。
顎が小さいなど遺伝的なものや頰杖をつく癖などの生活習慣など原因はさまざまです。
歯列不正はうまく噛み合わないだけでなく、歯が重なっていることで歯磨きやデンタルフロスなどのケアがしにくいため、むし歯や歯周病を引き起こしてしまいます。
⑥不適合修復物(補綴物、入れ歯やインプラントなど)
むし歯治療によって詰めたり被せたりした修復物(詰め物、被せ物)が歯にぴったりと合っていないものを不適合修復物と言います。
はじめはもちろんフィットしているのですが、たとえば銀歯は自分の歯より硬いため、銀歯とご自身の歯との境目で自分の歯が徐々に欠けていきます。
そのため、銀歯と歯の境目の隙間にプラークが付着し、気づかないうちに二次むし歯や歯周病になってしまうことがあります。
合っていない被せ物は、その隙間や歯周ポケットの奥まで歯ブラシが届きません。
むし歯の再発を避けるためにも、治療後も丁寧に磨くようにしましょう。
また、年齢によってむし歯になりやすい場所は変化します。
たとえば 10代は歯が生えてきてまだ日が浅いので、③咬合面が非常にむし歯になりやすいです。
そのため生えてきたばかりの歯の溝を予防的にシーラントで埋めたりします。
また、20代になってくると咬合面のむし歯が減り、④歯と歯の間のむし歯が増加します。
また、加齢により歯ぐきが下がってくると②露出した根面がむし歯になりやすくなります。
さらに歯が動いた場合、⑤歯列不正の部分もむし歯になりやすいです。
このように年代によってもむし歯になりやすい場所が変わってきます。
むし歯の早期発見や再発を防ぐためにも定期的な受診をおすすめします!