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Q.歯の型をとるのにも種類があると聞きましたが、どう違うのですか?
A.型どりの素材の特徴を知って、ご希望に沿った物を選んでください。
補綴治療とその技術の進歩:デジタル時代の到来
歯科の治療の中でも「補綴治療」という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。
補綴治療とは、失われた歯の機能や形を回復するために行う治療を指し、被せ物や詰め物、差し歯、入れ歯、インプラントなどがその一例です。
これらの治療は、失った歯の代わりに、口腔内で機能する新しい歯を作り出し、食事や発音のサポートを行う非常に重要な役割を果たします。
補綴治療を行う際には、まず患者さんの口腔内の状態を正確に把握するために「型どり」という工程が欠かせません。
この型どりが正確でないと、最終的に作られる詰め物や被せ物がぴったりとフィットせず、長期間使用した場合に問題が生じてしまうことがあります。
ここでは、補綴治療における型どりに使用される素材について、そして近年注目されているデジタルデンティストリーの技術について詳しく解説します。
1. 補綴治療における型どりとは?
補綴治療において型どりは非常に重要なステップです。
歯科医師は、失われた歯の形にぴったりとフィットする詰め物や被せ物を作るために、患者さんの歯の正確な型を取ります。
これにより、歯科用の材料を使って個別の詰め物や被せ物を作ることができ、最終的に患者さんの口に合ったものを提供することができます。
2. 型どりに使われる素材
型どりに使われる素材にはいくつかの種類があり、各素材にはメリットとデメリットがあります。
以下に代表的な素材とその特徴を紹介します。
2.1 寒天+アルジネート
最も一般的で広く使用されているのが「寒天+アルジネート」の組み合わせです。
特に保険治療でよく見られる素材であり、患者さんにもなじみがあるかもしれません。
この素材の最大のメリットは、非常に安価であることです。保険治療の範囲内であれば、患者さんにとって経済的な負担が少なく済むため、治療を受けやすいという点があります。
しかし、寒天+アルジネートにはデメリットもあります。
例えば、時間が経過するとすぐに変形してしまうため、型が正確でない可能性があります。
型取り後、すぐに詰め物や被せ物の製作に進まないと、型が崩れてしまうこともあります。
また、精度が高くないため、精密さを求める治療においては不向きである場合もあります。
2.2 シリコン
次に紹介するのは「シリコン」です。シリコンはゴムのような素材で、非常に精度が高く、長時間経過しても型が劣化しにくい特性を持っています。
生体材料にも使われることがあり、その安全性と精度の高さから、特に自費治療ではよく使用されます。患
者さんにとっては、より精度の高い治療を希望する場合に、このシリコンが選ばれることが多いです。
シリコンを使うことで、非常に高精度な型どりが可能になり、最終的に作られる詰め物や被せ物がぴったりと口の中にフィットします。
特に、精密さが求められるインプラントや精密義歯の作製時には、シリコンが非常に有効です。
ただし、シリコンにはデメリットもあります。特に固まる時間がやや長いという点が挙げられます。
型どりの際に待機時間が発生するため、患者さんにとっては少し手間に感じることがあるかもしれません。
しかし、このデメリットを上回る精度の高さがシリコンの最大の魅力です。
2.3 現在注目されているデジタルデンティストリー
そして現在、世界中で注目され、徐々に普及してきているのが「デジタルデンティストリー」です。
簡単に言うと、従来の型取りに代わって、デジタル技術を用いて口腔内の型を撮影する方法です。
デジタルデンティストリーでは、専用のスキャナーを使って患者さんの口の中をスキャンし、その情報をもとに3Dデータを生成します。
生成された3Dデータを基に、詰め物や被せ物が設計され、作製されます。
この方法の大きなメリットは、型取りに使う材料を口の中に流し込んで固める必要がなく、スキャナーでスムーズに型取りができることです。
患者さんにとっても、口の中に物を入れられることがなく、非常に快適に治療を受けることができます。
また、デジタルデンティストリーは非常に高精度で、型どりを何度も繰り返す必要がなく、1回で精度の高いデータを得ることができます。
デジタルデンティストリーは、治療のスピードや精度を大幅に向上させる可能性を秘めており、今後、ますます多くの歯科医院で導入されることが予想されます。
しかし、すべての歯の状態において最適な方法とは限りません。歯の形や状態によっては、シリコンのような素材を使用した方が良い場合もあります。
3. デジタルデンティストリーの未来
デジタルデンティストリーの導入により、歯科治療の精度や効率性は飛躍的に向上しました。
3Dスキャンを使用することで、歯科医師は精密なデータをもとに、患者さんの歯にぴったりと合った補綴物を作ることができます。
さらに、デジタル技術を活用すれば、作製過程をデジタル化し、必要な材料の無駄を省くことができ、コスト面でも効率化が進むことが期待されています。
また、デジタル技術の進歩により、患者さんにとっても快適な治療が提供されるようになります。
従来の型どりでは、口腔内に材料を入れたまま待つ必要がありましたが、デジタルデンティストリーでは、スキャナーでの型どりだけで済むため、患者さんの負担を軽減することができます。
4. まとめ
補綴治療における型どりは、治療の精度に直結する重要なプロセスです。
寒天+アルジネートやシリコンなどの従来の素材にはそれぞれメリットとデメリットがありますが、近年ではデジタルデンティストリーという新しい技術が登場し、治療の精度と効率性を飛躍的に向上させています。
デジタルデンティストリーの導入により、より精密で快適な補綴治療が可能となり、患者さんにとっても大きなメリットが期待されます。
しかし、歯の状態や治療内容によっては、従来の方法を選択することも重要です。
歯科医師と相談しながら、自分に最適な治療方法を選んでいくことが、健康な歯を維持するための一歩です。
豊中・少路の歯科医院 エンパシーデンタルクリニック
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