
目次
Q.歯周病のために、歯周外科治療が必要だと言われました。歯周外科治療って何ですか?
A.歯周病の最終治療で、手探りではとりきれなかった汚れをとるために歯ぐきを切開する、外科的な治療法です。
歯周外科治療とは?歯周病の最終治療で歯と歯ぐきを守る方法
歯周病は、多くの人々が抱える病気ですが、その厄介な点は「自覚症状がほとんどない」ことです。
進行するまで気づかないことが多く、気づいた時にはすでに歯周病が進行していることも少なくありません。
歯周病の治療には段階があり、最終的な手段として「歯周外科治療」があります。
今回はこの歯周外科治療について、どんな治療法で、なぜ必要なのか、詳しくご説明いたします。
1. 歯周病の治療段階と歯周外科治療の役割
歯周病の治療には段階があり、基本的な治療法から始めて、状況に応じて進めていきます。
初期段階であれば、歯磨き指導や歯石除去、場合によっては薬物治療を行うことで炎症を抑えることが可能です。
しかし、治療が進んでいくと、普通のクリーニングでは完全に汚れを取り除くことができなくなり、歯周外科治療が必要になることがあります。
歯周外科治療は、歯周病が重度に進行し、歯根の周りに深い歯周ポケット(歯ぐきの下に溜まった汚れや歯石)や、骨の吸収が見られる場合に行われます。
通常のクリーニングでは手が届かない部分を外科的にアプローチして汚れを取り除く方法です。
2. 歯周外科治療の概要
歯周外科治療は、歯ぐきを切開して内部の汚れや歯石を取り除き、歯肉を元に戻して縫い合わせるという手術的な治療法です。
この治療法は、手探りでは取りきれない汚れや歯石を確実に取り除くために必要です。
2.1 歯ぐきを開けて汚れを取り除く
歯周外科治療では、まず歯ぐきを開いて歯根にこびりついたプラークや歯石などを徹底的に除去します。
深い歯周ポケット内の汚れを取り除くためには、歯ぐきを切開して直接確認しながら作業する必要があるのです。
通常のクリーニングでは届かない部分にもアプローチできるため、治療後の状態が大きく改善します。
2.2 骨の形を整える
歯周病が進行すると、歯槽骨と呼ばれる骨が溶けてしまい、歯を支える骨の構造が弱くなります。治療後には、骨の形を整えるための手術も行います。これにより、歯を支える骨を強化し、歯を安定させることができます。
2.3 歯周再生療法
進行した歯周病によって失われた骨の再生を促す治療法もあります。
歯周再生療法は、骨のくぼみを改善させ、歯を支える構造を再生することを目的とした治療です。
近年、技術が進歩し、ぐらぐらしている歯を支えるための効果的な治療法として利用されています。
3. 歯周外科治療が必要となる理由
歯周外科治療は、以下のような状況で特に必要とされます。
3.1 深い歯周ポケットがある場合
歯周病が進行すると、歯と歯ぐきの間に深い歯周ポケットが形成されます。
ここに汚れや歯石が溜まりやすく、歯ブラシや歯科衛生士の手によるクリーニングでは完全に取りきれません。
深いポケットに残った汚れを完全に除去するためには、歯ぐきを開けて直接治療する必要があります。
3.2 骨が失われている場合
歯周病が進行すると、歯槽骨(歯を支える骨)が吸収され、歯が不安定になります。
このような場合、歯周外科治療によって骨の形を整えたり、骨再生療法を行うことで、歯を長期的に維持するための基盤を作ることができます。
3.3 進行した歯周病による歯ぐきの損傷
歯周病が進行することで、歯ぐきが下がってしまうことがあります。
これにより歯の根が露出し、さらに進行すると歯がぐらつき始めます。
歯周外科治療では、歯ぐきを元の位置に戻すことができる場合もあります。
4. 歯周外科治療の流れ
歯周外科治療の流れは、以下のようになります。
4.1 手術前の準備
手術前には、歯科医から治療の内容やリスクについてしっかりと説明を受けます。
また、現在服用している薬や過去の病歴を歯科医に伝えることが重要です。
特に骨粗しょう症の薬を服用している場合や、その他の持病がある場合は、手術を行う前に歯科医に相談することが必要です。
4.2 歯ぐきを切開して汚れを除去
手術が開始されると、歯ぐきを切開して内部に溜まった歯石やプラークを徹底的に取り除きます。
この際、歯根の形が複雑である場合、さらに丁寧な作業が求められます。
4.3 骨の再生や形の修正
必要に応じて、骨の形を整えたり、再生療法を行って骨の構造を強化します。
この治療によって、歯が長期的に安定するようにサポートします。
4.4 歯ぐきを閉じて縫合
汚れを取り除き、必要な治療が終わった後、歯ぐきを元の位置に戻して縫合します。
治療後、数週間かけて歯ぐきが回復し、治療が完了します。
5. 歯周外科治療後の注意点
歯周外科治療後には、以下のような注意点があります。
5.1 術後のケア
手術後は、歯ぐきの腫れや痛みが生じることがあります。
歯科医から指示された薬や治療後のケアをしっかりと守りましょう。
また、治療後数日間は硬い食べ物を避け、食事や歯磨きにも注意が必要です。
5.2 喫煙が治療結果に影響する
喫煙は歯周病の進行を促進させる原因となり、歯周外科治療の成功率にも大きな影響を与えます。
治療前後に禁煙をすることが推奨されます。
5.3 定期的なチェック
歯周外科治療後は、定期的に歯科医院で検診を受け、歯周病が再発しないようにチェックを行うことが重要です。
再発を防ぐためにも、正しい歯磨き習慣を続けましょう。
6. 歯周外科治療を受ける前に確認すべきこと
歯周外科治療を受ける前に、必ず確認しておくべきことがあります。
例えば、骨粗しょう症などの持病がある場合、治療が適切かどうかを歯科医に相談することが大切です。
また、服用している薬やサプリメントについても、治療に影響を与える可能性があるため、正確に伝えましょう。
7. まとめ
歯周外科治療は、歯周病が進行し、通常の治療では解決できない深い歯周ポケットや骨の吸収を改善するための重要な治療法です。
この治療法を受けることで、歯を長期的に維持し、再発を防ぐことができます。
治療を受ける前には、リスクや術後のケアについてしっかりと理解し、準備を整えてから臨むことが大切です。