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テレビや新聞などでも紹介されることが多くなってきたこの体操。
実は高齢者の誤嚥(ごえん)予防や、口の周りの筋力強化、発音の改善など、さまざまな効果が期待できる口腔機能トレーニングです。
歯の治療や入れ歯の調整と同じくらい、お口の機能維持は大切です。ぜひ日常生活に取り入れてみてください。
「パタカラ体操」とは?
「パタカラ体操」は、「パ・タ・カ・ラ」という4つの音を発声しながら行う、口腔周囲筋(こうくうしゅういきん)の体操です。
それぞれの音には意味があり、発音することで異なる口の筋肉が鍛えられます。
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「パ」:唇をしっかり閉じて弾く音。→口唇の筋力強化
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「タ」:舌先を上あごにつけて出す音。→舌の先端の筋力向上
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「カ」:舌の奥を使って発音する音。→舌根(ぜっこん)や喉の筋肉の刺激
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「ラ」:舌を素早く震わせて発音。→舌の柔軟性・動きの改善
この4音を繰り返し発声することで、お口の中の筋肉がバランスよく鍛えられ、口腔機能の維持・向上に役立ちます。
どんな効果があるの?
「パタカラ体操」には、次のような効果が期待できます。
1. 誤嚥予防
高齢になると、飲み込む力(嚥下機能)が弱まり、食べ物や飲み物が誤って気管に入ってしまう「誤嚥」が起きやすくなります。
この体操を続けることで、飲み込むために必要な舌や喉の筋肉が鍛えられ、誤嚥を予防できます。
2. 発音の改善
唇や舌の筋肉をしっかり動かす練習になるため、滑舌がよくなり、会話がスムーズになります。
特に入れ歯を使っている方には、発音の安定に役立ちます。
3. 食事がしやすくなる
舌の動きがよくなることで、食べ物をしっかり口の中で移動させ、噛んで飲み込む動作がスムーズになります。
これにより、食事の楽しみが戻る方も多くいらっしゃいます。
4. 顔のたるみ・表情の改善
表情筋の一部も刺激されるため、顔全体の筋力がアップし、たるみ予防や表情の明るさアップにもつながります。美容的な効果を感じる方も。
こんな方におすすめ!
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最近、むせやすくなった
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滑舌が悪くなった、声が小さくなった
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食事に時間がかかる
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顔の筋肉がたるんできたと感じる
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歯や入れ歯の調子が悪くないのに、食べづらい
このようなお悩みをお持ちの方は、口腔機能の低下が始まっている可能性があります。
パタカラ体操を継続することで、改善・予防が期待できます。
実際にやってみよう!基本のやり方
【パタカラ体操の基本ステップ】
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姿勢を整えます
背筋を伸ばし、椅子に浅く腰掛けましょう。リラックスした状態で行います。 -
「パ・タ・カ・ラ」と発音する
それぞれの音を、はっきりと1文字ずつ区切って発音します。
「パ・タ・カ・ラ」を1セットとして、ゆっくり10回×3セットを目安に繰り返しましょう。 -
無理なく、毎日継続することが大切です
体操の時間は1日3〜5分ほど。テレビを見ながら、入浴中、寝る前など、生活の中に取り入れて習慣化することがポイントです。
パタカラ体操のコツと注意点
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はっきりと口を大きく動かすこと:声を出すだけでなく、口の動きが重要です。
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スピードではなく丁寧さ:早口でやると効果が落ちます。ゆっくり丁寧に発音を。
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痛みや不快感があるときは無理をしない:違和感が続く場合は歯科医や言語聴覚士に相談を。
パタカラ体操と歯科医院の関わり
当院では、歯の治療だけでなく、口腔機能の維持・向上にも力を入れています。
加齢による口腔機能の低下は「オーラルフレイル」とも呼ばれ、健康寿命に大きな影響を与えます。
パタカラ体操はそのオーラルフレイル対策の第一歩として、非常に効果的です。
まとめ
「パタカラ体操」は、どなたでも手軽に始められる、口腔機能向上のための優れた体操です。
むせやすさ、食べづらさ、話しにくさなど、ちょっとした不調を放置してしまうと、将来的に大きな健康リスクにもつながりかねません。
毎日の習慣として「パタカラ体操」を取り入れ、お口から全身の健康を守りましょう。
ご不明な点や、お口の機能に関する不安がある方は、ぜひお気軽に当院までご相談ください。





