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「毎日しっかり歯を磨いているのに、虫歯や歯周病になってしまう…」
そんな経験はありませんか?
その原因のひとつが、プラーク(歯垢)の磨き残しです。
プラークはお口の中に常に存在しており、特に「つきやすい場所」に集まりやすい傾向があります。
この記事では、
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プラークがつきやすい部位
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どうしてそこにたまりやすいのか
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具体的な対策方法
について詳しくご紹介します。ご自身の歯みがきを見直すきっかけになれば幸いです。
プラークとは?
プラーク(歯垢)とは、食べ物のカスではなく、細菌が歯の表面に付着して形成する白っぽいネバネバしたかたまりです。
これは「バイオフィルム」と呼ばれ、普通のうがいでは落とせません。
プラーク中の細菌は、糖を分解して酸を作り出し、
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虫歯(う蝕)
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歯周病(歯肉炎・歯周炎)
の原因になります。
このプラークを毎日のセルフケアでしっかり取り除くことが、口腔内の健康を守る第一歩です。
プラークがつきやすい5つのポイント
それでは、本題に入ります。
プラークはお口の中の凹凸や届きにくい場所にたまりやすいのが特徴です。
以下の部位は特に注意が必要です。
1. 歯と歯の間(隣接面)
最もプラークがたまりやすい場所のひとつです。
歯ブラシの毛先が届きにくいため、通常のブラッシングでは約40%程度しか清掃できていないと言われています。
放置すると虫歯になりやすく、「隣接面カリエス(歯の横からできる虫歯)」が発生します。
対策:
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デンタルフロスを毎日使用しましょう。特に夜寝る前が効果的。
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歯間ブラシは、歯ぐきが下がってすき間が広くなっている人に適しています。
2. 歯と歯ぐきの境目(歯頸部)
歯の根元部分にあたる「歯頸部」もプラークがたまりやすい場所です。
ここは歯周病が始まりやすいポイントでもあります。
この部分にプラークが溜まると、歯ぐきが腫れたり出血したりする「歯肉炎」が起こります。
対策:
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歯ブラシの毛先を歯ぐきの縁に45度の角度で当てて、小刻みに磨きます(バス法)。
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やわらかめの歯ブラシを使うと、歯ぐきを傷つけず効果的に清掃できます。
3. 奥歯のかみ合わせ面(咬合面)
奥歯のかみ合わせ部分は溝(小窩裂溝)が深く複雑な形状をしており、食べかすやプラークがたまりやすくなっています。
特に子どもの虫歯はこの部位から始まることが多いです。
対策:
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毛先が細く、溝にフィットしやすい歯ブラシを使用しましょう。
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子どもにはシーラント処置(予防的な歯のコーティング)も有効です。
4. 歯並びが悪いところ・矯正装置の周辺
歯並びが重なっていたり、八重歯になっている場所は歯ブラシが届きにくく、プラークがたまりやすくなります。
また、矯正装置(ブラケットやワイヤー)の周囲も清掃が難しい部分です。
対策:
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コンパクトヘッドの歯ブラシで、1本ずつ丁寧に磨く。
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矯正中の方は、タフトブラシ(先端の小さなブラシ)や矯正用歯ブラシを活用しましょう。
5. 舌側(内側)・特に下の前歯の内側
鏡で見えにくいこともあり、磨き残しが多いのが「歯の内側」です。
特に下の前歯の内側は、唾液腺が近く、歯石ができやすい部位でもあります。
対策:
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歯ブラシを下から上へ、縦に動かす磨き方が有効です。
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小回りの利くヘッドの歯ブラシを選びましょう。
磨き残しのチェック方法
自分で「磨き残し」に気づくのは難しいものです。
以下の方法を活用することで、プラークの位置がわかりやすくなります。
◎ 染め出し液を使う
市販されているプラーク染色液を使うと、磨き残した部分が赤や紫に染まります。お子さまの歯磨き練習にもおすすめです。
◎ デンタルミラーやスマホで確認
歯の裏側や奥歯は、デンタルミラーやスマートフォンのカメラ機能を使って確認してみましょう。普段見えない部分の磨き残しがわかります。
プラークの蓄積は全身の健康にも影響?
最近の研究では、プラーク中の歯周病菌が糖尿病、心疾患、誤嚥性肺炎、妊婦の早産など、全身の健康にも関係していることがわかってきました。
つまり、プラークコントロールは“歯のため”だけでなく、“体のため”にも大切な習慣なのです。
当院でできること
当院では、
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ブラッシング指導(お口の状態に合わせた磨き方のアドバイス)
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定期クリーニング(歯石・プラークの除去)
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予防処置(フッ素塗布、シーラントなど)をしております。
「どこを磨き残しているのか分からない」「自己流で合っているか不安」という方は、どうぞお気軽にご相談ください。
まとめ:プラークは「見えにくい・届きにくい」場所に潜む
プラークがつきやすい場所を知ることは、予防の第一歩です。
もう一度おさらいすると…
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歯と歯の間
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歯と歯ぐきの境目
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奥歯のかみ合わせ面
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歯並びが悪い場所・矯正装置のまわり
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歯の内側(特に下の前歯の内側)
これらの部位に意識を向けて、毎日のケアを丁寧に行いましょう。
そして、定期的な歯科検診でプロのサポートを受けることが、お口の健康を守る最大の近道です。





