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皆さんは「歯周病」と聞いて、どんなイメージをお持ちですか？
「年を取ってからかかる病気」
「歯ぐきが腫れて血が出るやつでしょ？」
「虫歯より怖いって聞いたけど、何が違うの？」
…実は、歯周病は成人の8割がかかっているとされる、非常に身近な病気。
しかも、「気づいたときには進行していた」というケースが非常に多いのです。
この記事では、歯周病がどのように進行していくのかを段階ごとに分かりやすく解説し、各段階でどんな治療やケアが必要なのかをお伝えします。
歯周病とは？虫歯との違い
歯周病は、歯を支える組織（歯ぐき・歯槽骨など）に炎症が起こり、最終的には歯が抜けてしまう病気です。
歯そのものがダメになる虫歯とは違い、歯の「土台」が壊れていくのが歯周病の特徴です。
歯周病は、「歯肉炎」→「歯周炎（軽度〜重度）」へと、ゆっくりと、でも確実に進行していきます。
歯周病の進行段階
ここからは、歯周病の各ステージを詳しく見ていきましょう。
自分がどの段階にあるのか、チェックしながら読んでみてください。
【ステージ0】健康な歯ぐき
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歯ぐきがピンク色で引き締まっている
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歯と歯のすき間がなく、弾力がある
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歯磨きで出血しない
健康な歯ぐきは、血行が良く、歯をしっかり支えています。プラークや歯石が少なく、定期的なケアがされている状態です。
この段階を保つには：
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正しいブラッシング
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フロスや歯間ブラシの活用
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定期検診・クリーニング（3〜6ヶ月に1回）
【ステージ1】歯肉炎（しにくえん）
最も初期の歯周病。歯ぐきだけに炎症があり、まだ歯を支える骨（歯槽骨）には影響が出ていません。
主な症状：
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歯ぐきが赤く腫れる
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歯磨きやフロスで出血する
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軽い口臭が出る
自覚症状はほとんどなく、「気づかないうちに」進行しやすいのが歯肉炎の特徴です。
この段階での対策：
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プラーク・歯石除去（スケーリング）
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正しいブラッシング習慣を身につける
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この段階なら完全に治ることが可能
【ステージ2】軽度歯周炎
歯肉炎が進行し、歯周ポケットが深くなる段階です。歯槽骨の破壊が始まっています。
主な症状：
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歯ぐきの腫れや出血が続く
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歯周ポケットが3〜4mmに
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歯ぐきのかゆみ、軽い痛み
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冷たいものがしみる（知覚過敏）
この段階での治療：
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スケーリング（歯石除去）
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ブラッシング指導（TBI）
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必要に応じて、ルートプレーニング（SRP）という深い清掃も
この段階も、患者さんの努力次第で改善が見込めます。
【ステージ3】中等度歯周炎
炎症が歯ぐきの奥まで進み、歯槽骨がかなり溶けている状態です。
主な症状：
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歯周ポケットが4〜6mmに
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歯がグラグラし始める
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膿が出る・口臭が強くなる
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歯ぐきが下がり、歯が長く見える
ここまで進むと、セルフケアだけでは改善できず、専門的な治療が不可欠になります。
治療法：
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SRP（スケーリング・ルートプレーニング）を複数回実施
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炎症が強い部位は歯周外科処置（フラップ手術）が必要になることも
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補助的に抗菌薬の投与やレーザー治療を行う場合も
【ステージ4】重度歯周炎
歯を支える骨の大部分が失われ、歯が大きく動揺している状態です。最悪の場合、自然脱落することもあります。
主な症状：
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歯周ポケットが6mm以上
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歯が大きくグラグラする
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噛むと痛い、噛めない
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常に膿が出て、強い口臭
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歯が傾いたり、隙間が広がる
この段階での治療：
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多くの場合、保存は困難で抜歯が必要
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インプラント、ブリッジ、入れ歯などの補綴治療で機能を回復
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残せる歯に対しては、歯周外科処置＋徹底的なメンテナンスが必要
歯周病が進むと「全身疾患」にも影響が
歯周病は「口の中だけの問題」と思われがちですが、実は全身の健康とも深く関わっていることが近年の研究で明らかになっています。
歯周病が影響する可能性のある病気：
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心筋梗塞・動脈硬化などの心疾患
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インスリンの働きが悪化する糖尿病
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高齢者に多い誤嚥性肺炎
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妊婦さんの早産・低体重児出産 など
口の中の細菌が血管や気道に入り込み、全身に悪影響を及ぼすリスクがあるため、歯周病ケアは命を守る医療でもあるのです。
予防とメンテナンスがすべてを左右する
歯周病は進行してしまうと治癒が難しく、完全な回復は困難です。だからこそ、「予防」と「早期発見・早期治療」が何よりも大切です。
歯周病を防ぐために今日からできること：
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1日2回、正しいブラッシングを続ける
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歯と歯の間はフロスや歯間ブラシを使う
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3～6ヶ月ごとの定期検診・クリーニングを受ける
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歯ぐきの腫れや出血を放置しない
まとめ：進行する前に、気づいてほしい
歯周病は、静かに進行する“サイレントキラー”とも言われています。
初期のうちは痛みも少なく、日常生活に大きな支障もありません。
だからこそ、気づいたときには手遅れというケースも多いのです。
でも、進行段階を理解し、正しく対処すれば、歯周病は予防・改善ができます。
そして、自分の歯で一生過ごすために最も重要な病気でもあります。
