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歯科や口腔外科を受診されるきっかけとして、非常に多いのが「親知らず」に関するお悩みです。
「痛みがある」「歯ぐきが腫れてきた」「抜いたほうがいいと言われたけれど不安がある」など、患者さんのご相談内容はさまざまです。
今回は、親知らずの基礎知識から、抜歯が必要になるケース、抜歯の流れや注意点まで、詳しく解説します。
これから親知らずの抜歯を検討されている方や、不安を感じている方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
親知らずとはどんな歯?
親知らずは、永久歯の中で一番奥に生えてくる歯で、正式には「第3大臼歯(だいさんだいきゅうし)」と呼ばれています。
上下左右、最大で4本生えてくる可能性がありますが、実際には個人差が大きく、
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はじめから親知らずが存在しない方
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1~2本しか生えない方
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上下左右すべて揃っている方
など、生え方や本数は人それぞれです。
一般的には10代後半から20代前半に生えてくることが多いですが、なかには30~40代になってから生えてくるケースもあります。
また、まっすぐ正常に生えてくるとは限らず、次のような状態がよく見られます。
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斜めに生えている
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横向きに埋まっている
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一部だけ歯ぐきから出ている
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完全に歯ぐきや骨の中に埋まっている
このような生え方が、親知らずのトラブルを引き起こす原因となります。
親知らずは必ず抜かないといけないの?
「親知らず=抜歯しなければならない」と思われがちですが、すべての親知らずが抜歯の対象になるわけではありません。
以下のような条件を満たしている場合は、無理に抜歯を行わず、経過観察とすることもあります。
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痛みや腫れなどの症状がない
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まっすぐ生えていて噛み合わせに問題がない
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周囲の歯や歯並びに悪影響を与えていない
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清掃状態が良く、虫歯や歯周病のリスクが低い
一方で、次のような場合は抜歯が勧められることが多くなります。
親知らずの抜歯が必要になる主なケース
① 歯ぐきの腫れや痛みを繰り返す
親知らずの周囲は歯ブラシが届きにくく、細菌がたまりやすい場所です。
炎症が起こると「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」と呼ばれる状態になり、腫れや痛み、口が開きにくいといった症状が現れます。
一時的に症状が治まっても、繰り返し炎症を起こす場合は抜歯が有効な治療となります。
② 食べ物が頻繁につまる
親知らずと手前の歯の間にすき間ができると、食べ物が詰まりやすくなります。
その結果、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
③ 親知らずや手前の歯が虫歯になっている
親知らずが原因で、手前の健康な歯まで虫歯になるケースも少なくありません。
特に斜めに生えている親知らずは、手前の歯を圧迫し、深い虫歯を引き起こすことがあります。
④ 他の病気の原因になっている
親知らずが原因で、顎の骨の病気や嚢胞(のうほう)ができることもあります。
このような場合は、症状がなくても抜歯が必要になることがあります。
親知らずの抜歯前に行う検査について
親知らずの抜歯は、見た目以上に慎重な判断が求められる処置です。
特に下の親知らずの近くには、下歯槽神経(かしそうしんけい)と呼ばれる重要な神経や、太い血管が通っています。
当院では、歯科用CTを用いて、
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親知らずの位置や向き
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神経や血管との距離
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骨の状態
を三次元的に正確に把握したうえで、抜歯計画を立てています。
これにより、リスクを最小限に抑え、安全性の高い治療を行うことが可能になります。
親知らずの抜歯の流れ
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診察・画像検査
レントゲンやCT撮影を行い、抜歯の必要性と難易度を判断します。 -
治療計画の説明
抜歯方法、所要時間、リスク、術後の注意点などを丁寧に説明します。 -
局所麻酔
多くの場合は局所麻酔で行い、痛みを抑えた状態で処置します。 -
抜歯処置
歯の状態によっては、歯を分割して取り除くこともあります。 -
止血・縫合
必要に応じて縫合し、止血を確認します。
抜歯後の注意点と回復について
抜歯後は一時的に、
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痛み
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腫れ
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出血
が生じることがありますが、多くは数日から1週間程度で落ち着きます。
術後は以下の点に注意しましょう。
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強いうがいを避ける
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抜歯当日は飲酒や激しい運動を控える
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指や舌で傷口を触らない
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処方された薬は指示通り服用する
適切なケアを行うことで、治癒はスムーズに進みます。
親知らず以外の「抜歯」について
抜歯は親知らずだけに限りません。
重度の虫歯、歯髄炎、歯周病などにより、歯を残すことが難しい場合には抜歯が選択されることがあります。
近年の歯科医療では「できる限り歯を残す」治療が主流ですが、無理に残すことで他の歯や全身に悪影響を及ぼす場合もあります。
矯正治療や他の疾患の治療のために、計画的に抜歯を行うケースもあります。
全身疾患がある方の抜歯について
高血圧、糖尿病、心疾患、血液疾患など、全身疾患をお持ちの方は、抜歯に不安を感じられることも多いと思います。
当院では、
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医科との連携
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全身状態の把握
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出血や感染リスクへの対応
などを十分に行い、全身疾患がある方でも安全に抜歯を受けていただける体制を整えています。
まとめ|親知らずでお悩みの方はご相談ください
親知らずは、症状がなくても将来的なトラブルの原因になることがあります。
一方で、すべてを抜歯する必要はなく、適切な診断と判断が重要です。
「抜いたほうがいいのか分からない」
「痛みはないけれど不安がある」
「以前から腫れを繰り返している」
このようなお悩みがある方は、どうぞお気軽に当院までご相談ください。
専門的な診察と丁寧な説明で、患者さん一人ひとりに合った治療をご提案いたします。




