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骨粗しょう症
<連携> 歯科⇔整形外科
骨粗しょう症は、骨密度が低下して骨の強度が弱くなり、骨折しやすくなる疾患です。
特に閉経後の女性や高齢者に多く見られるため、今後ますます関心が高まる分野であり、健康管理の一環として骨粗しょう症とその影響を正しく理解することが重要です。
今回は、骨粗しょう症と歯周病の関係について、また治療中に必要な注意点について詳しく解説していきます。
骨粗しょう症の基本的な理解
骨粗しょう症とは、骨の中のカルシウムが減少し、骨密度が低下することで骨が脆くなり、骨折しやすくなる病気です
。この病気は、骨が弱くなることにより、些細な衝撃や圧力でも骨折を引き起こす可能性があります。
特に閉経後の女性や高齢者は、骨粗しょう症を発症しやすく、その発症率は年々増加しています。
骨は日々新陳代謝を繰り返し、古い骨が吸収され、新しい骨が作られる過程を経て、骨の強度が保たれています。
しかし、骨粗しょう症になると、この新陳代謝のバランスが崩れ、骨が作られる量よりも骨が吸収される量の方が多くなり、骨が薄くなります。
その結果、骨が脆くなり、骨折のリスクが高まるのです。
骨粗しょう症と歯周病の関係
骨粗しょう症の患者さんには、骨密度の低下に伴い、歯周病が進行しやすいという特徴があります。
特に閉経後の女性では、骨粗しょう症を発症している人が多く、その影響が歯周病にも現れることが知られています。
1 歯を支える骨(歯槽骨)の影響
歯槽骨は、歯を支える骨であり、歯周病の進行に大きな影響を与えます。
骨粗しょう症になると、歯槽骨の密度も低下し、歯を支える力が弱くなります。
そのため、歯周病が悪化すると歯槽骨が吸収され、歯がぐらついたり、最終的には抜けてしまうリスクが高くなります。
閉経後の女性は、エストロゲンという女性ホルモンが減少することで、骨密度が低下し、歯槽骨の吸収が進みやすくなります。
2 エストロゲンと歯周病の関係
エストロゲンは骨の健康を保つ重要なホルモンであり、骨粗しょう症の発症にも大きな影響を与えます。
このホルモンが減少することで、骨の新陳代謝に影響が出て、骨密度が低下するだけでなく、歯周病の進行を促進することがあります。
エストロゲンは歯周病の炎症を抑制する役割も持っているため、閉経後にエストロゲンが減少することによって、歯周病が悪化しやすくなるのです。
骨粗しょう症と歯周病の治療効果
骨粗しょう症と歯周病は密接に関連しているため、歯周病の治療が骨粗しょう症にも良い影響を与えることがいくつかの研究で明らかになっています。
具体的には、歯周病の治療を行うことで、骨粗しょう症の進行を抑制する効果があるとする研究結果も報告されています。
歯周病を治療することで、歯槽骨の吸収を防ぎ、歯を支える骨の健康を保つことができます。
また、歯周病の改善は、全身の健康にも良い影響を与えるとされています。
特に、歯周病が進行すると、体内の炎症が広がり、骨密度の低下を引き起こす要因となるため、歯周病を早期に発見し、適切な治療を行うことが骨粗しょう症の予防にもつながります。
骨粗しょう症の薬と歯科治療の注意点
骨粗しょう症の治療にはさまざまな薬が使用されますが、その中には抜歯ができなくなる可能性のある薬もあります。
しかし、すべての骨粗しょう症の薬がそうであるわけではありません。
最近では、骨粗しょう症の薬を服用している場合でも、適切な処置を行えば、抜歯を行うことができることが分かっています。
1 ビスフォスフォネート系薬剤
ビスフォスフォネート系薬剤は、骨吸収を抑制する作用を持ち、骨粗しょう症の治療に広く使用されています。
これらの薬剤は骨の中に蓄積され、長期間にわたり骨吸収を抑える作用を発揮しますが、その一方で、顎骨壊死(あごの骨が壊死する疾患)のリスクが増加することがあります。
そのため、ビスフォスフォネート系薬剤を服用している場合、抜歯などの外科的処置を行う際には特別な注意が必要です。
2 休薬の必要性と実際
近年では、骨粗しょう症薬を服用している方でも、抜歯後に適切な処置を行えば、薬の服用を中止する(休薬する)必要はないとされています。
つまり、抜歯後に適切なケアを行い、薬剤の影響を最小限に抑える方法が確立されてきたため、患者さんが必要な歯科治療を受ける際の障壁が低くなっています。
3 お薬手帳の重要性
骨粗しょう症の治療を受けている場合、薬剤の種類や服用歴を歯科医師に正確に伝えることが非常に重要です。
歯科治療を受ける前にお薬手帳を歯科医に提示することで、薬剤の影響を受けず、適切な治療を行うことができます。
特に、抜歯を予定している場合や歯科手術を受ける場合には、事前に薬の種類や服用歴を確認してもらうことが、合併症を防ぐために非常に重要です。
骨粗しょう症患者の歯科治療のポイント
骨粗しょう症の患者さんに対する歯科治療では、いくつかの重要なポイントがあります。
まず、歯周病の予防が非常に重要です。定期的な歯科健診を受け、歯周病を早期に発見し、治療を行うことが、歯を長持ちさせ、骨粗しょう症の進行を遅らせる効果があります。
また、治療中に薬を服用している場合は、歯科医師と協力して薬の影響を最小限に抑えながら適切な治療を行うことが求められます。
さらに、骨粗しょう症の患者さんは、歯槽骨が脆くなっているため、治療後の回復が遅れることがあります。
治療後は無理をせず、適切な休息とケアを行い、口腔内の健康を維持することが大切です。
まとめ
骨粗しょう症と歯周病は密接に関連しており、骨密度の低下が歯周病の進行を促進することがあります。
特に閉経後の女性や高齢者では、骨粗しょう症によって歯を支える骨が弱くなり、歯周病のリスクが高まります。
歯周病を治療することは、骨粗しょう症の進行を抑える効果があることが分かっていますので、定期的な歯科健診を受け、歯周病の予防に努めましょう。
また、骨粗しょう症の治療中は、お薬手帳を提示し、歯科医師と協力して安全な治療を受けることが重要です。
豊中・少路の歯科医院 エンパシーデンタルクリニック
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