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「お茶を飲んだだけでむせちゃった」「食事のたびにむせるのが怖い」。
そんな“むせ”に悩んでいませんか?呼吸器トラブルとして軽んじられがちですが、実は重要なサイン。
今回は、歯の健康を守る視点から、むせを減らしつつ、歯を長持ちさせる秘訣をご紹介します。
1.むせは“老化”じゃなく、“機能の衰え”のシグナル
「むせるのは年だから仕方ない」と思っていませんか?
しかし、これは単なる加齢ではなく、口や喉の筋力低下や唾液分泌量の減少により、飲み込み機能が弱っている状態かもしれません。
口腔機能が衰えると、咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)のタイミングがずれたり、一部が気道に入りやすくなります。
これが誤嚥性肺炎などの重いトラブルにつながる可能性も。特に「むせないのに誤嚥している」“サイレント誤嚥”は気づきにくく、リスクが高いのです。
2.むせと誤嚥性肺炎の関係を知る
誤嚥性肺炎とは、口の中の細菌を含んだ唾液や食べ物が誤って気道に入り、肺に炎症が起きる病気。
高齢者では重大な死因の一つでもあります。
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むせる=防御反応が働いている:むせにより、異物が気道へ侵入するのを防ごうとしています。
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むせない=危険サイン:気づかれないまま誤嚥が起きている可能性。「むせない誤嚥」のほうが重症化しやすいと言われています。
だからこそ、「むせること=悪いこと」ではないのです。ただし、むせが頻発するなら、その背景にある機能低下への対処が欠かせません。
3.口腔ケアでむせ・肺炎予防&歯の長寿命化
歯を長持ちさせるために重視されるのが、口腔ケアの徹底。これはむせ対策と肺炎予防にも直結します。
✅ 毎朝・夜の歯みがき
プラークをしっかり落とし、細菌の増殖を抑えます。
✅ 舌ケアも忘れずに
舌の奥は細菌がたまりやすく、むせやすさにもつながります。舌ブラシや柔らかめの歯ブラシで軽く磨きましょう。
✅ うがいをこまめに
食後だけでなく、乾燥時もこまめにうがいを。水やうがい薬で口内をリセットしましょう。
✅ 歯科医院での定期チェック
歯だけでなく、口腔機能(噛む力や飲み込む力など)まで評価してもらえる歯科もあります。定期的なチェックで未然に異常を見つけるのはとても大切。
4.飲み込み筋を鍛える“口の筋トレ”
自宅で簡単にできる、“飲み込み力アップ”トレーニングをご紹介します。
むせにくさが変わってきますよ!
▶ 「パ・タ・カ・ラ」体操
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「パパパ…」と唇をパチパチ
唇の閉じる力を強化。 -
「タタタ…」と舌先で歯茎をタッチ
舌先と前歯の筋力を鍛えます。 -
「カカカ…」と喉の奥を意識
飲み込み時に使う奥の筋肉を刺激。 -
「ラララ…」と舌全体で音を転がす
舌全体の協調動作向上に効果的。
各音をそれぞれ30秒ずつ、朝と夜に行うだけでもOK。
▶ 唾液腺マッサージ
唾液がちゃんと出ると飲み込みがスムーズになります。
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耳下腺:耳たぶの下辺りを指で円を描くようにマッサージ。
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顎下腺:あごの下、中央から左右に軽く押す。
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舌下腺:あご裏を指で優しくさすります。
5.食事の工夫でむせにくく
毎日の食事をちょっと見直すことで、むせ対策にもつながります。
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姿勢正しく:背筋を伸ばし、顎を軽く引き、足は床にしっかり着ける。
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温度に注意:熱すぎず冷たすぎないものを選びましょう。
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とろみや食形態の調整:さらさらすぎる汁物より、とろみや弾力をつけた食材の方が安心です。
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よく噛んでゆっくり食べる:急ぐ必要はありません。時間をかけることで嚥下に余裕が生まれやすくなります。





