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インプラントを入れるとMRIは撮れなくなる?― 知っておきたい!インプラントとMRIの安全性 ―
インプラント治療を検討している方から、時折このような質問をいただきます。
「インプラントを入れたらMRI検査が受けられなくなるって本当ですか?」
「身体に金属が入っているとMRIに支障があると聞いて、少し不安です……」
確かに、MRI検査では金属類に注意するよう言われることが多く、不安に感じるのも無理はありません。
ですが、結論から言えば、インプラントがあるからといってMRI検査が受けられなくなるということは基本的にありません。
この記事では、「なぜ金属がMRIで問題になるのか」「インプラントの素材は大丈夫なのか」「どんなケースに気をつけるべきか」といった点を、わかりやすく解説していきます。
そもそも、なぜMRIで金属が問題になるの?
MRIとは、強力な磁石と電波を使って体内の様子を撮影する医療機器です。
放射線を使用しないため身体への負担は少ない一方で、金属との相性には注意が必要とされています。
主に問題となるのは以下の2点です。
① 金属が磁石に引き寄せられてしまう
MRI装置の磁場は非常に強力です。
磁性(じせい)をもつ金属はMRIの磁力に反応して強く引き寄せられるため、体内にそうした金属があると動いてしまい、身体への危険や不快感、損傷を引き起こす可能性があります。
② MRI画像にノイズが生じる
もう一つの問題は、金属によってMRI画像が乱れてしまうこと。
画像にノイズ(ざらつきや影)が出てしまい、診断に支障が出る可能性があります。
特に、脳や内臓の繊細な構造を詳細に見る必要がある場合は、画像の鮮明さが重要になります。
インプラントの素材「チタン」は大丈夫?
ここで安心していただきたいのは、歯科インプラントのほとんどは「チタン」製であるという点です。
チタンは「常磁性体(じょうじせいたい)」といって、磁石にほとんど引き寄せられない特性を持つ金属です。
MRIで強力な磁場がかかっても、引き寄せられたり動いたりする心配がないのです。
また、チタンはMRI画像に対してもノイズの発生が非常に少ないため、検査精度に悪影響を及ぼすことはほとんどありません。
さらに、チタンは体との親和性が高く、腐食しにくく、金属アレルギーのリスクも低いことから、医療分野では人工関節や骨折治療のボルトなどにも広く使われています。
最近注目されている「ジルコニアインプラント」も安心
インプラントには、近年「ジルコニア製」のものも登場しています。
ジルコニアは人工ダイヤモンドとも呼ばれるセラミック素材で、金属ではないため、そもそも磁場に全く反応しません。
そのため、MRIにおいても磁力による影響や画像の乱れの心配は皆無です。
また、審美性が非常に高く、金属アレルギーの心配もないため、前歯部など見た目を重視する部位での使用や、金属に不安を感じる方に選ばれることが増えてきています。
インプラント以外の歯科金属は大丈夫?
歯科治療で使われる金属(銀歯、詰め物、ブリッジ、矯正装置など)は、一般的にはMRIに支障をきたすことはありません。
ただし、以下のような例では一部注意が必要です。
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古い金属冠(アマルガムなど)でMRI画像にノイズが出ることがある
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顎の骨に入っている大きな金属プレートなど
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強磁性をもつ特殊な合金や未確認素材
いずれにしても、MRI検査を受ける前に「インプラントがあります」「歯科金属があります」と申告することは大切です。
病院側が必要に応じて事前に確認をしてくれます。
唯一注意が必要なのは「磁石付きの入れ歯」
インプラントは問題ありませんが、磁石を使って固定するタイプの入れ歯(磁性アタッチメント義歯)をお使いの方は注意が必要です。
磁石はMRIの磁場に非常に敏感に反応するため、装着したまま検査を受けると危険を伴います。
この場合、検査の前に必ず入れ歯を外しておくことが必要です。
検査を受ける際には、あらかじめ歯科医師に相談しておくと安心です。
インプラントとMRIは両立できる!
✅ インプラントの素材である「チタン」はMRIで問題になりません
✅ MRI画像への影響も非常に少なく、安心して検査を受けられます
✅ ジルコニアインプラントならさらに磁場の影響ゼロ
✅ 磁石付き入れ歯は外して撮影が必要です
✅ 心配なときは、検査前に申告すれば安心