Q.歯周病は他の病気にも関係があるというのは本当ですか?
A.大病につながるほど、深い関わりがあります。
歯周病はお口の中だけでなく、全身を蝕む怖い病気です。以下の病気と深い関わりがあることがわかっています。
①脳梗塞、心筋梗塞
②糖尿病
③誤嚥性肺炎
④早産、低体重児
▼①脳梗塞、心筋梗塞
脳梗塞は脳の血管が詰まり、心筋梗塞は心臓の血管が詰まる、生死に関わる病気です。
実はこれらの病気が近年、歯周病と深い関わりがあることがわかっています。
炎症を起こした歯ぐきから体内に入り込んだ歯周病菌は、血流に乗って全身に広がります。
歯周病菌が血管の内壁に入り込んでしまうと、白血球がたまり、それらが死がいの塊となり血管の壁にこびりつきます。
それが動脈硬化を引き起こし、血液の流れを邪魔したり、場合によっては剥がれた塊が詰まって血栓となって脳梗塞、心筋梗塞の原因となります。
ある研究では、歯周病の方はそうでない方の 2.8倍脳梗塞になるリスクがあるというデータもあります。
高血圧の方やコレステロール値や中性脂肪値が高い方はリスクを軽減するためにもしっかりと歯周病の予防や治療を行いましょう。
▼②糖尿病
糖尿病と歯周病は相互に影響し合っています。
歯周病が改善されると血糖コントロールが良くなり、結果として糖尿病が改善されることがわかっています。
糖尿病はインスリンというすい臓からのホルモンの働きが弱まったり、十分に分泌されなくなったりすることで血糖値が高くなる病気です。
歯周病が悪化していると、歯ぐきの炎症が拡大し、炎症物質が体内へと侵入します。
その物質がインスリンの働きを弱めるために、糖尿病が悪化します。
▼③誤嚥性肺炎
高齢者の方に多い誤嚥性肺炎は、本来食道を通って胃に運ばれる食べ物が舌や口、喉の筋肉の衰えによって飲み込む力が弱まり、気管から肺に入ってしまうことが原因で起こります。
歯周病などによって口内の細菌が多い方ほど、誤って肺に入り込んだとき誤嚥性肺炎になりやすいことが報告されています。
日頃からケアを受けるなど、お口の中を清潔に保っている高齢者の方は、肺炎の発症率や発熱率、死亡率が低いという報告もあります。
▼④早産、低体重児
歯周病は、早産や低体重児出産にも深く関わっています。
歯周病の炎症により、炎症性物質が子宮の筋肉の収縮を招き、早産が引き起こされるのです。
とはいえ、まだ不明なことも多く、今後の研究が必要な分野でもあります。
女性は妊娠期、ホルモンバランスの変化やつわりなどで歯磨きができなくなったり、だらだら食べをしたりと、特に歯周病のリスクが高まる時期でもあります。
悪化させないためにも、お口の中を清潔に保つことを心がけましょう。