状態によって抜歯をした方がきれいに治る場合は提案させてもらいます。
矯正を行う際、最も多く聞かれるのが「抜歯しないといけませんか?」というご質問です。
健康な歯を抜きたくないと思う気持ちは当然のことです。当院でも最小限の負担で最大限の効果を引き出す方法を提案してはいますが、抜歯・非抜歯については実際お口の中を見ないと判断できません。ただ、必ずしも抜歯しない矯正がいいとも言い切れません。
欧米人に比べ、アジア人は口に奥行きがないため、歯が重ねて生えている方も多いです。この場合歯を抜かずに矯正しようとすると、骨の土手の中に歯が収まらないため、仕上がりが出っ歯になってしまう可能性もあります。最近ではIPRと言って歯をやすりでエナメル質の範囲内で削ることで歯の合計を小さくし、骨の土手に収める方法も見受けられます。もちろん抜かない矯正法ができないか検討はしますが、より確実な結果を求める場合は抜歯を推奨します。
歯を抜く行為は元に戻れない行為です。それを十分にわかったうえで歯科医は抜歯した方がいいと提案することがあります。患者さんにメリットが大きいと考えるからです。
また、矯正=見た目を良くするためと思われがちですが、他にもメリットはたくさんあります。
①歯並びが改善するとお手入れが簡単になり、むし歯や歯周病のリスクが低くなる
②ちゃんと噛めるようになり、栄養が十分に摂取できる。消化管に負担がかからない
③奥歯の負担が分散し、結果的にお口全体の寿命が延びる
④噛む能率が改善されて顎の負担が軽くなる
⑤からだのバランスが改善されて、運動パフォーマンスや筋力が発揮しやすくなる
なかなか目に見えない効果ばかりですが、どの項目も歯の寿命 100 歳を目指すうえで重要です。
矯正はいつでも始められます。気になったときが、そのタイミングかもしれません。コロナ禍のマスク生活の影響か、最近は “ オトナの歯列矯正 ” を始める方が増えています。審美だけでなく、人生 100 年時代を見据えて噛み合わせを整える歯列矯正はいまから始めても遅くはありません。