Q.酸蝕歯ってなんですか?
A.食べ物や飲み物の「酸」で溶けた歯のこと。
からだに良いと思っている食習慣にご注意を。
みなさんは「酸蝕歯」という言葉をご存じでしょうか?
むし歯は、口の中の細菌が出す酸が原因で引き起こされます。
範囲は一部分で、うまく掃除が行き届かなかったところや汚れがたまりやすい部分などにできます。
これに対し、むし歯でも歯周病でもないのに歯が溶けてしまうことがあります。
それが酸蝕歯という病気で、食べ物や飲み物に含まれる酸によって引き起こされます。
むし歯に比べ広範囲なのが特徴です。
若い方も高齢の方も関係なく、4人に1人が酸蝕歯であるというデータもあります。
歯にはエナメル質という鎧があるのですが、人によって厚みが違うため、酸蝕歯になりやすい方となりにくい方がいます。
また、むし歯がある場合は、酸蝕によって進行しやすくなります。
また、実は私たちの身近にある飲み物の多くは酸性です。
市販飲料の約73%が歯のエナメル質を溶かす酸性度を超えています。
炭酸飲料やスポーツドリンク、栄養ドリンク、オレンジジュースなどのソフトドリンク、お酒なども酸蝕歯を引き起こしやすいです。
同様に食べ物の多くが酸性です。
意外なものだとマヨネーズやチーズ、ナッツ、パンやパスタなども酸性です。
一般的な飲料の酸性度がわかる表がこちらです。
ちなみに胃液はpH1.0~2.0。
歯の表面が溶け始めるのがpH5.5。
普段のお口の中はpH7.0なので、
いかに普段私たちが酸性の飲み物を摂取しているかわかります。
たとえば、健康のために黒酢を毎日飲む方や酸性度の高い飲食物を高頻度に摂取する方は注意が必要です。
酸性度の高い飲料物を仕事中や運転中、スポーツをしているときなどに「ながら飲み」をしている方も高リスクです。
長い時間をかけて摂取することで歯が酸に触れている時間も長くなり、唾液が中和する効果が追いつかず、歯が常に酸性にさらされている状態になってしまいます。
他にも柑橘系の果物を前歯でかじる習慣のある方や、もずくなどの酢の物を前歯ですする癖のある方も要注意です。
どうしてもやめられないという方は酸性の物をとった後にお水を一杯だけ飲んで中和しましょう。
また、ここが難しいのですが、後述する食後の歯磨きは食後すぐに歯磨きしてください。
一方、酸蝕症では歯が飲食物の酸で傷ついてしまっているので、食後30分ほど待ってから磨きましょう。
酸性の物は身近にあふれています。
健康のためにとっている物が必ずしも歯の健康にとっていいとは限りません。
□ 長時間、酸性の飲食物を口にしないようにする
□ 酸性の物を摂取したら、お水やお茶などですすぐ(口の中を中性にする)
□ スポーツ飲料や炭酸を飲むときはストローを使用する(直接歯に酸性の物を当てない)
□ 酸性の物を口にした後、30分ほど待ってから歯磨きをする(酸によって柔らかくなった歯を傷つけない)
上記のチェックポイントに気をつけて過ごしてみましょう。